専門誌『企業実務』掲載事例から考える
健康診断 × 問い文化 × 健康経営

健康診断を、
「受ける行事」で終わらせない。

健診を受ける。結果を見る。
そこで終わるのではなく、
「これから何を少し変える?」を考える。

健康診断は、健康経営の基本。そして社員の健康は、人的資本経営の土台でもあります。

左:一般的な健診は案内・受診・結果・ファイルにしまうで終了という印象。中央:結果を見て一つ気になったことは?次の健診までに一つだけ変えるなら?という問い。右:日常へ、食事を少し意識する・歩く・睡眠を見直す・医療機関へ相談する・休息を取る・働き方を少し見直す。下部:健診(受ける)→気づき(結果から)→選択(できることを一つ)→小さな行動(やってみる)→日常へ(続けていく)。今日の小さな一歩が、明日の自分をつくる。

社員の健康を知ることから、健康経営は始まる。

社員が、どんな健康状態にあるのか/どんなリスクがあるのか/どんな生活習慣を見直す必要があるのか、を把握する健康診断は、健康経営の基本的な入口です。さらに、人的資本経営の視点でも、社員が健康で、能力を発揮できる状態にあることは、企業価値を支える基礎条件として位置づけます。

人材を資本として大切にするなら、その人が働き続けられる健康状態を支えることは土台になる。

健康診断を100%受けてもらえば、健康経営は完成するのか?

企業では、次のような項目が管理指標になりやすいものです。

受診率再検査率特定保健指導認定要件

それ自体は重要です。しかし、受診した社員の意識と行動が何も変わらなければ、健康づくりとしてはまだ途中です。

健康診断は「認定を取るために受けてもらうもの」ではなく、社員自身の健康行動につなげるための入口。

「受けるまで」と、「受けたあと」。

キャズム①|受診前

  • 必要だと分かっている
  • でも忙しい
  • 予約を後回し
  • 仕事を優先
  • 未受診

キャズム②|受診後

  • 健診を受ける
  • 結果を見る
  • 少し気になる
  • でも
  • 何をすればいいか分からない
  • 日常に戻る
  • 翌年また同じ

健康診断では、「受けてもらうキャズム」と「行動につなげるキャズム」の両方を見る必要がある。

「受けてください」だけでなく、次の一歩を考えてもらう。

  • 今年の健診、もう予定は決まってる?

  • 予約するなら、いつが一番ラク?

  • 今年、自分の体で確認しておきたいことは?

  • 健診までに一つ気をつけたいことは?

  • 今週、健診の予定を決めるならいつ?

受診を命令するだけでなく、本人自身が「いつ受けるか」「何を確認したいか」を一度考える。

健診結果は、「判定表」ではなく、自分を見る材料。

結果を見たあとに、数値を見る/判定を見る/去年と比較する、だけで終わらせない。そこで問いを置きます。

  • 結果を見て、一つ気になったことは?

  • 去年と比べて、何が少し変わった?

  • 次の健診までに一つだけ変えるなら?

  • 食事・運動・睡眠で、一つ選ぶなら?

  • 医療機関に相談しておいた方がいいことは?

  • 今日からできる一番小さなことは?

健診結果を「読む」から、「自分の行動を少し考える」へ。

大きな健康改革ではなく、自分を少し整える。

健診結果を見て、今日から完璧な生活をしようと決意する必要はありません。

少し歩く食事を一つ変える睡眠時間を意識する飲み物を変える休息を取る一度受診する

程度でもよいのです。

健診は、大きく生まれ変わるためのイベントではない。自分の状態に気づき、少しセルフチューニングする入口。

年1回の健診と、365日の生活をつなぐ。

  • 健康診断
  • 結果
  • 問い
  • 気づく
  • 一つ選ぶ
  • 少し行動
  • 日常へ

そして必要なタイミングで、また問いを置きます。

問いは、健診結果を日常の行動へ戻すための小さな橋になる。

必要なタイミングに、必要な問いを置く。

健診1か月前:今年の健診、予定は決まってる? 健診直後:結果を見て、一つ気になったことは? 数日後:今日から一つ変えるなら? 再検査対象者:次の一歩を決めるなら? しばらく後:最近、少し続けられていることは?

問い文化とは、同じ健康質問を毎日繰り返すことではない。必要なテーマを、必要な瞬間に意識へ戻す文化。

健診が、事務連絡だけで終わらない。

問い文化がある職場では、健康診断が、受診票を提出する話だけではありません。

去年よりどうだった?最近どう?少し歩こうかな睡眠を見直そうかな一回病院に行っておこうかな

といった、小さな健康対話のきっかけにもなります。

健康診断が、社員自身の健康について考える“共通のきっかけ”になる。

健診をどう扱っているかを見ると、その会社の健康観が見える。

会社A

  • 受診してください
  • 締切です
  • 未受診者は連絡してください
  • 結果提出してください

で終了。

会社B

  • 受診しやすい環境をつくる
  • 結果を本人が理解する機会をつくる
  • 再検査へ行きやすくする
  • 健康について考える問いを置く
  • 日常の小さな行動まで支える

健康診断への向き合い方を見ると、企業が本当に社員の健康をどう考えているかも見えてくる。つまり、社員の健康診断であると同時に、会社の「健康経営の健康診断」にもなる。

健康について考える瞬間が、日常のどこかにある。

問い文化がない職場

  • 年1回健診
  • 終了
  • また来年

年1回で閉じる。

問い文化がある職場

  • 健診
  • 結果
  • 問い
  • 小さな行動
  • ときどき健康の問い
  • セルフチューニング
  • 次の健診へ

日常へループする。

健康経営とは、健康イベントを増やすことではない。健康について少し考え、少し行動することが日常にある状態。

健康を、福利厚生だけの話にしない。

  • 健康診断
  • 自分の健康に気づく
  • セルフチューニング
  • 働ける状態を整える
  • 能力を発揮する
  • 組織の力につながる

社員の健康は、個人の生活だけの問題ではない。その人が継続して力を発揮できるかに関わる。したがって、健康経営は人的資本経営の基礎条件の一つ。

「行ってください」と言われても、行かない理由がある。

  • 忙しい
  • 怖い
  • まだ大丈夫と思う
  • どこへ行けばいいか分からない
  • 面倒
  • 仕事を休みにくい

ここでも、本人の意識が低いと単純化しません。

  • 次の一歩を決めるなら?

  • 何があると受診しやすい?

  • 今、確認しておきたいことは?

  • 誰かに相談するとしたら?

問いだけでなく、受診しやすい環境を会社側がつくることも必要。

会社が答えを知る必要はない問いもある。

健康診断結果や健康状態はセンシティブです。したがって、次のような設計を行います。

  • 匿名
  • 内緒
  • ノーコメント
  • 個人回答を管理職へ見せない
  • 評価に使わない

大切なのは、会社が健康情報を集めることではなく、本人自身が自分の健康について一度考えること。

健康について問うことが、日常行動の変化につながっていった。

専門誌『企業実務』掲載事例では、健康に関する変化が見られました。

  • 健康に関する変化

    • 食・栄養への意識や行動
    • 運動・生活習慣
    • 自分の状態への意識
    • セルフマネジメント
  • 仕事面での変化

    • 自主性
    • 改善
    • 提案
    • コミュニケーション
    • 業務推進
    • 能力発揮

健康を入口にした問いが、自分を整えることや仕事の行動を考える入口にもなりうる。

「健康」だけで終わらない。

  • 健康診断
  • 健康への気づき
  • セルフチューニング
  • 働き方
  • コミュニケーション
  • 自発性
  • 能力発揮
  • 組織開発

健康は、組織開発への入口にもなる。

健診前・健診後・再検査後で、問いを変える。

問いナッジでは、次のようなことまで設計します。

いつ問うか受診前か結果直後か数日後か再検査対象か何を意識に上げたいかどんな小さな行動につなげるか個人情報に踏み込みすぎていないか毎日必要なのか単発でよいのか
  • 問い文化健康について考えるきっかけが日常にある職場
  • 問いナッジそのきっかけを適切なタイミングに置く設計方法

実装方法

  • スコキン

    出勤・退勤時の問いの中に、ときどき健康や健診後のセルフチューニングを促す問いを置く。

  • 問いステーション

    健診時期や健康施策に合わせた問いを職場に置く。

  • メルナッジ・セミナッジ

    健診前後に個人へ軽い問いを届ける。

  • 紙・メール・社内チャット

    ツールは限定しない。

ツールではなく、健診と日常の間にどんな問いを置くかが本質。

「健診に行けない」を本人の問題にしない。

  • 仕事を休めない
  • 人手不足
  • 予約時間が合わない
  • 健診場所が遠い
  • 再検査に行く時間がない

なら、問いを置く前に、受診しやすい環境そのものを会社が整える必要があります。

ナッジや問いは、構造的な障害を放置するためのものではない。

こんな企業に向いている

  • 健診受診率は高いが、その後につながらない
  • 再検査率を改善したい
  • 健診が事務作業化している
  • 健康経営を認定取得だけで終わらせたくない
  • 社員自身に健康を考えてほしい
  • 健康行動を日常につなげたい
  • セルフマネジメントを高めたい
  • 人的資本経営と健康経営をつなげたい
  • 健康を入口に組織開発へ進めたい
  • 問い文化を職場に取り入れたい

御社の健康診断は、
「受けて終わり」になっていませんか?

受診前、受診後、再検査、日常の健康行動まで、御社の健診運用を見ながら、どこにどんな問いを置けばよいかを一緒に設計します。

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